このコーナーは今まで自宅にお内仏(仏壇)をご安置するご縁がなかった方が、間違った慣習や曖昧な知識に惑わされることなくお内仏(仏壇)をあなたのご自宅に整える為に必要な情報をお伝えするコーナーです。
真宗大谷派の作法に則り、遊林寺としてのガイドラインを表しました。
お仏壇・仏具を揃える前に是非ご覧ください。なお不明な点は遊林寺までお問い合わせください。
一般に「お仏壇」という言葉が流布していますが、浄土真宗には伝統的に「お内仏」という言葉があります。「お内仏」とは、我が家の仏様がご安置されている所で家族が手を合わせ、「南無阿弥陀仏」と称え仏の願いを聞く所です。仏は「念仏を称える人をどこまでも見捨てず必ず救う」と私たちに願い続けています。
本来、阿弥陀(無量寿・無量光のはたらき)は色も形も匂いも無いものなのですが、形に表した御本尊に手を合わせることを通して、形無き阿弥陀のいのちを感じ取ることが私たちにできることなのでしょう。御本尊に礼拝しいつでも私の生活が小さな自分の欲望に囚われていないか見つめましょう。決して自分の願望を満たすために仏に頼み込む所ではないことを理解してお参りください。
- Q1.安置する部屋は?
- A1.家族みんながいつでも礼拝できるような部屋にご安置しましょう。
- Q2.方角は?
- A2.方角を気にすることはありません。(方角に囚われるのは迷信です)
- Q3.高さは?
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A3. 日々のお参りのスタイルは、正座の場合、椅子式の場合、立位の場合等、各家庭の有様で選択されることでしょう。いずれにしても、御本尊としてご安置する阿弥陀如来の絵像(掛軸)が仰ぎ見られる目線の高さにお内仏をご安置することが基本です。
- Q4.安置場所の寸法の測り方は?
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A4. 有効寸法(間口、高さ、奥行)を測ります。この時気を付けたいのは、仏壇の扉は外側に開くということです。仏壇の両脇にゆとりが必要になることを考えて寸法を測りましょう。
- Q5.仏壇を使わず安置する方法はないですか?
- A5.写真のようなご安置の方法があります。これも立派なお内仏です。
家具利用仏壇
三折御本尊と三具足
仏壇
- Q1.選ぶにあたってまず気を付けることは?
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A1. 御本尊としてご安置する阿弥陀如来の絵像(掛軸)(寸法については表1参照)が掛けられる大きさのものを選びましょう。
- Q2.大谷派の仏壇(金仏壇)でないといけないのか?
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A2. 大谷派寺院のお内陣には黒漆、金箔、金具が多く用いられています。それを模したものとして、金仏壇が大谷派の仏壇として親しまれてきたと考えられます。しかし厳密には、真宗大谷派が定める大谷派の仏壇というものは存在しません。 金仏壇の他、唐木仏壇、家具調仏壇等があります。度々買い替えるものではありませんので、よく吟味して選ぶことが大切です。家具調仏壇を選ばれたお宅で時々「来客がある時には仏壇の扉を閉める」という話を耳にします。それはとても残念なことで、来客にも是非お参りしていただきましょう。
- Q3.お仏壇はいつまでに買うものですか?
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A3. なるべく速やかに用意しましょう。(本来は所帯が新しくなった時にお内仏をご安置するのが真宗門徒のたしなみです。)
- Q1.御本尊って何ですか?
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A1. - 真宗大谷派のお内仏では中心となる阿弥陀如来の絵像を御本尊とします。お参りする者が手を合わせる象徴となるものです。(詳しくは「初めに知っておきたいこと」をもう一度参照ください。)
- Q2.お脇掛って何ですか?
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A2. -
御本尊を中心として左右にお掛けする掛軸のことです。
右側に十字名号「帰命尽十方無碍光如来」、左側に
九字名号「南無不可思議光如来」をお掛けします。
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御本尊を中心として左右にお掛けする掛軸のことです。
- Q3.御本尊、お脇掛は仏壇のどこに掛けるのですか?
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A3. - 仏壇の正面中央に御本尊、その向かって
右側に十字名号、左側に九字名号をお掛けします。
- 仏壇の正面中央に御本尊、その向かって
- Q4.御本尊はどこで求めたらいいですか?
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A4. 本来京都にあります本山(東本願寺)から受けるのが正式なやりようです。市販のものもあるようですが、本山から受けることをお勧めします。遊林寺が願人の代わりに申請を出し、申請後一週間ほどでお寺に届きます。まずはお寺に連絡をしてください。
- Q5.三折御本尊について教えてください。
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A5. 三つに折りたためる置き形の御本尊です。 三折御本尊(開)
三折御本尊(閉)
- Q6.授与物の大きさや、それにかかる費用は?
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A6. 大きさ、礼金について表1にまとめましたので参考にしてください。表にある大きさ以外のものもあります。寸法、礼金については電話でお問い合わせください。 絵像御本尊
(寸法:丈×幅)金襴表装 無金表装 50代(31.5×14.3) ¥34,000 ¥23,000 30代(27.2×12.0) ¥34,000 ¥23,000 20代(20.0× 8.5) ¥34,000 ¥23,000 お脇掛
(寸法:丈×幅)
(九字十字名号 2幅)金襴表装 無金表装 50代(31.5×14.3) ¥40,000 ¥26,000 30代(27.2×12.0) ¥40,000 ¥26,000 20代(20.0× 8.5) ¥40,000 ¥26,000 名称 礼金 三折御本尊(九字十字名号付)
本体寸法(高さ21.2×幅27.0)¥25,000 同 台付
台寸法(奥行7.6×幅29.5×高さ1.5)¥26,000 三折御本尊 ¥18,000 同 台付 ¥19,000 三折御本尊(小型)
本体寸法(高さ16.4×幅21.6)¥5,000 同 台付
台 寸法(奥行7.5×幅17.5×高さ1.5)¥6,000 表1
- Q7.金襴表装と無金表装の違いは?
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A7. 掛軸の表装部分に模様が織り込まれています。その模様部分に用いられている糸が金糸のものを金襴表装と言います。黄土色の糸のものを無金表装と言います。写真を参考にしてください。 ・金襴表装:
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アップ画像
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・無金表装:
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アップ画像
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- Q1.真宗大谷派では位牌を使わないと聞きましたが本当ですか?
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A1. - 位牌は使いません。大谷派では法名軸という法名をお書きした掛軸をお内仏に安置します。
- Q2.法名軸は仏壇のどこに掛けるのですか?
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A2. - 仏壇内の向かって右の側面(奥行にあたる部分)にお掛けします。
- Q3.法名軸はどこで作ってもらえばいいですか?
- A3.遊林寺でお受けしていますが仏壇店で作ってもらうこともできます。
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Q4. 遊林寺に頼んだ場合の法名軸の大きさ、種類、作ってもらうのにかかる費用等を教えてください。 -
A4. 表2を参考にしてください。表にある大きさ以外や特注品については電話でお問い合わせください。
法名軸
(寸法:丈×幅)金襴表装 20代(20.0× 8.5) ¥15,000 30代(27.2×12.0) ¥15,000 50代(31.5×14.3) ¥15,000 表2
- Q1.最低限揃えた方がよいものは?
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A1. - 三具足(花瓶、燭台、香炉)と仏飯器と鈴です。
- Q2.大谷派の仏具でないといけないのか?
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A2. 大谷派寺院のお荘厳を模した仏具を揃えるのが望ましいですが、選んだ仏壇の構造上やむを得ない場合は他のものでも否定はしません。
- Q3.仏具を選ぶ時に気を付けることは?
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A3. 仏壇と仏具のバランスをとることです。実際に仏具を置いてみて、全体のバランスを見ることをお勧めします。
- Q4.仏具の配置は?
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- A4.写真を参考にしてください。
- Q1.入仏法要はやらないといけませんか?
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A1. 入仏法要はとても大事な法要です。仏の教えをいただく所として新しく開かれるお内仏は、これからの家族の歴史を支え見守ってくださる仏様と向き合う所として重んじて毎日礼拝しましょう。その礼拝の始まりを慶ぶ仏事として、入仏法要は営まれます。必ず僧侶を招き、家族そろってお勤めしましょう。
- Q2.入仏法要はいつすればいいですか?
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A2. 仏壇が納品される日に合わせ速やかに御本尊を安置し、法要をお勤めできるよう準備を進めてください。(御本尊の申請、遊林寺との日程調整など)
- Q3.入仏法要の時に用意するものは?
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A3. お仏飯、お花、蝋燭、お線香です。大谷派の作法に則ってお荘厳ください。
「お花、蝋燭、お線香を供える心」についてはこちら
- Q1.毎日することは何ですか?
- A1.お仏飯を供える。お花を美しく保つ。燃香する。
- Q2.お給仕の仕方は具体的にどのようにすればいいですか?
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A2. まず、いつでもなるべく綺麗にしておきましょう。
<お仏飯について>
朝炊いたご飯を盛槽という道具(仏具店にあります)を使用しかたどりましょう。
朝の勤行後にお供えし、お昼にお下げしいただきます。
<お花について>
お花は四季折々のお花をとり交ぜて生けます。この時松や檜等を真にすると美しい仏花になります。
(ただ花瓶の大きさによっては生けられない場合もあります。)
避けたいのは棘のある花、つるに咲く花、香りの強い花です。またお花を生けすぎて御本尊やお脇掛が見えなくならないように気をつけましょう。勿論造花ではいけません。
<燃香について>
お線香を香炉の大きさに応じて1、2本火をつけ、火をつけた方を左にして灰の上に供えてください。お線香は高価なものでなくても構いませんが、なるべく香りのいいものを使ってください。
- Q1.勤行はいつしたらいいですか?
- A1.なるべく朝夕にお勤めしましょう。
- Q2.勤行の内容は?
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A2. 勤行(お勤め)は正信偈・同朋奉讃の念仏・和讃・回向をいただきましょう。
真宗大谷派勤行集(真宗大谷派出版部発行)のページは正信偈(p3~32)
同朋奉讃の念仏・和讃・回向(p97~101)です。
- Q3.勤行の流れや作法を教えてください。
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A3. 勤行の流れ
気持ちを整える→頭礼する→御本尊を仰ぎ見る→合掌する→念仏を称える
→合掌を解く→鈴を打つ→声を出して正信偈~回向を勤める
(遊林寺同朋の勤行を参考にしてください)
勤行の作法
合掌する→念仏を称える→合掌を解く→鈴の撥を納める→合掌する
→合掌を解く→御本尊に頭礼する
お正月:
打敷・鏡餅
※ご家庭の場合、鏡餅は高つきなどに
乗せてみてはいかがですか春秋彼岸・ご命日:
打敷
お盆:
夏用打敷
打敷とは:
お荘厳を法要に合わせて重たくする綺麗な衣です。(通常は使用しません)
三具足をお飾りする前卓がある場合に使用します。
冬用打敷
夏用打敷
冬、夏用打敷の比較
- その1:鈴を叩くことについて
- お参りする時、「お線香を供え、チンチンと鈴を叩いて念仏を称える。」テレビの番組や何も分からない子供に向かって年長者がこのような事をお教えしているようですが、これは間違った作法です。鈴はお勤めの読経の速さを決めるための大切な仏具です。やたらに鳴らしてはいけません。
また「鈴をチンチンと叩かないと亡くなった人に私がお参りしているのが届かない。」と心配そうに言われた方がいますが、「南無阿弥陀仏」を称える中に故人との共鳴を感じ取っていただくことが重要です。
- その2:過去帳の役割と法名軸との違いについて
- 位牌を使わないので過去帳を用いる。過去帳さえあれば法名軸は必要ないというお話をお聞きすることがあります。どちらにも故人の法名や命日が記載され、同じようなもののように見えてしまいます。しかし過去帳は、現在までご苦労なさったその家の数々のご先祖様の法名を記し、それをまとめた帳面であると考えてください。(しかし家系図ではありません。)
それに対して法名軸は、ご先祖の一人一人を象徴し、法名という仏法の名としてお内仏にご安置するためのものです。(お内仏では、過去帳は一番下の段に置かれた見台に供えます。)
たくさんのご先祖がいらっしゃってお内仏に掛けきれなくなった法名軸は、巻き取ってお内仏の引き出しに大切に保管してください。年忌法要の時にお出ししてお内仏にお掛けします。その時に大事になるのが過去帳で、法名軸とご先祖のお名前を確認します。ご先祖の数が多くなっても、きちんと間違いなく法名軸をご安置することができます。
- その3:お茶を始め、故人の好きだったものを仏壇に供えることについて
- 故人を偲んで、故人が好きだったものをお供えしたい気持ちはとてもよく分かりますし大事な気持ちでしょう。しかし時々聞く、「故人があの世でお腹をすかしているといけないら・・・。」「あの世でひもじい思いをしていないかしら・・・。」とお供えするのはいかがなものでしょうか。お腹がすいてしまうこの世と同様に、浄土に還った仏様を考えるのはあまり感心できません。なぜなら故人はこの世を生きる生身の苦難を越え出た世界にお還りになった仏様なのですから。